このようにフォーマリズムの理論的な洗礼を受けつつ、いかに韓国美術のアイデンティティを確立するのかという、考えただけでもスリリングで創造的な時代に韓国の美術界は出会うことになる。通常ならばミニマリズムの還元主義は、現象学的、記号論的な知的プロセスとこれまでの文脈を解体する作業を伴うため、韓国のように一気に広まることは難しいと思われるのだが、「日本の影響から脱すること」と還元主義、そして民族主義が見事にフユージョンした、きわめて希有な衝突の現場があらわれたと考えられるのである。日本の植民地的な美術教育のもとでフォーマリズムの理論まで行き着くことは、ほとんど不可能と思われるにもかかわらず、それに民族的なエートスをも加えた60年代末のモノクローム・ペインティング運動は、世界のアートシーンでも通用する優れた作家を何人も輩出することになったのである。まさに三位一体の改革であったと言えよう。
このような民族的なエートスについて金英那氏は、次のように述べている。